• 2022年05月07日(土) 12:00

    鏡は不思議

    身の回りのどこにもある鏡ですが、話題豊富な素材です。 そもそも鏡はなぜガラスなのでしょうか。

    鏡の中の左と右

    毎日鏡の中に見ている自分の顔ですが、他人から見る自分の顔とは決定的な違いがあります。そう、左右が反転しているのです。
    鏡の中では自分の右手が左手に、左手が右手になっています(図1)。これを「鏡映反転」と言いますが、3~4割の人が鏡の中の自分の顔や身体の左右が反転していることに気づいていないそうで、文字が映った時に初めて反転に気づくのです。
    反転文字は読みにくいのですが、顔や身体は反転していても違和感を感じません。スマートフォンで自撮り(画像を見ながらの撮影)すると鏡と同じように鏡映反転が起こります。
    このため反転映像が本来の自分の顔と誰もが意識しているのかもしれません。
    他人が見る自分の本当の顔を鏡で見るには、鏡を2枚使って(合わせ鏡)顔が映るようにします。角度が難しく真正面からは見られませんが、2度反射させることで左右が元に戻り正しい映像になります。
    実はこの鏡映反転の謎の解明は古代ギリシャ時代から哲学者や物理学者が挑戦してきたものなのです。当時は板ガラスの鏡はまだありませんでしたが、鏡のある現在でもこの謎は明快に説明されていないようです。
    西暦79年に火山灰に埋もれたポンペイの遺跡から、自分の姿を水面に映してうっとりするナルシスを描いたフレスコ画が出土します。
    ナルシスは鏡映反転に気づいていたでしょうか・・
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